
海外から商品を輸入する際に避けて通れないのが、
「貿易条件(インコタームズ)」の理解です。
そして、FOB・FCA・EXWなど輸入者が
フレイトを支払うタームの場合、
物流コストやスケジュールを管理しやすくなります
が一方で注意も必要です。
この記事では、FOB・FCA・EXW条件の違いと、
輸入者としてのリスク・コスト負担のポイントを、
初心者にも分かりやすく解説します。
目次
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インコタームズとは?
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輸入時によく使われる3大条件(FOB・FCA・EXW)
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FOB(Free On Board)条件とは?
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FCA(Free Carrier)条件とは?
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EXW(Ex Works)条件とは?
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各条件で変わる輸入者の「やるべきこと」
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海外から輸入する際のおすすめ条件と理由
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よくあるQ&A
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まとめ
1. インコタームズとは?
**インコタームズ(Incoterms)**とは、
国際取引において売主・買主の間で
「どこまでの費用・責任を負うのか」を
統一的に定義した貿易ルールです。
▶ 発行元:国際商業会議所(ICC)
▶ 最新版:Incoterms® 2020(※2025年改訂予定あり)
2. 輸入時によく使われる3大条件(FOB・FCA・EXW)
海外から商品を「輸入する側(バイヤー)」にとって、
頻出するのが以下の3条件です。
条件 | 貿易地点 | 説明 | 輸入者の負担範囲 |
---|---|---|---|
FOB | 船積港(本船に積込時) | 本船に載せるまで売主が手配 | 輸送・保険・通関など |
FCA | 指定地(港・倉庫など) | 指定地で売主が引き渡し | そこから先すべて輸入者負担 |
EXW | 売主の工場・倉庫 | 工場渡し。バイヤーがすべて手配 | 国内輸送からすべて買主 |
3. FOB(Free On Board)条件とは?
**FOB(本船渡し)**は、海上輸送の定番条件です。
売主の責任は「本船に貨物を積み込むまで。
それ以降は輸入者の責任になります。
特徴とポイント
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本船積込までの費用は売主負担
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船便の手配・海上保険・輸入通関はバイヤー側の手配
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貿易初心者でも交渉しやすい条件
メリット(輸入者にとって)
✅ 荷物の積載状況やスケジュール管理がしやすい
✅ フォワーダーを使えばコストコントロールが可能
デメリット
⚠ 現地港までの状況が見えづらい
⚠ 危険負担は船積み時点からバイヤーに移る
4. FCA(Free Carrier)条件とは?
**FCA(運送人渡し)**は、より柔軟な引き渡し条件です。
貨物を「倉庫」「港」「物流拠点」など、
指定の場所で売主が運送人へ引き渡します。
特徴とポイント
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船積港以外の場所で引き渡せるため、陸送や航空にも対応
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FOBよりも新しいスタンダードとして広がっている
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インボイスやB/L発行時に使いやすい条件
メリット
✅ 海上・航空どちらにも対応可能
✅ 複数の輸送手段を組み合わせやすい
デメリット
⚠ 引き渡し地点によって実務が複雑になることも
⚠ インボイス上で船積証明が必要な場合は注意
5. EXW(Ex Works)条件とは?
**EXW(工場渡し)**は、
売主が最小限の義務しか負わない条件です。
特徴とポイント
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売主は工場や倉庫で貨物を引き渡すだけ
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輸出通関もバイヤーが手配
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現地での集荷・搬出・通関まで買主が全責任
メリット
✅ 売主が非協力的な場合でも契約可能
✅ 自分でスケジュールの全工程や物流コストを管理したい場合に適している
デメリット(輸入者にとって)
⚠ 現地輸送会社や通関の手配に不慣れな場合はリスクあり
6. 各条件で変わる輸入者の「やるべきこと」
業務項目 | FOB | FCA | EXW |
---|---|---|---|
海上運賃 | ○ | ○ | ○ |
海上保険 | ○ | ○ | ○ |
現地港での通関 | × | × | ○ |
現地輸送手配 | × | △ | ○ |
貨物引取・集荷 | × | △ | ○ |
※○:輸入者負担/×:売主負担/△:条件次第で変動
7. 海外から輸入する際のおすすめ条件と理由
FOB条件
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通関や船積みは売主に任せつつ、
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海上輸送は自社で管理できるため、
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コストと納期を可視化しやすいのがポイントです。
FCA条件
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航空輸送や複合一貫輸送(マルチモーダル)を組む場合はFCAの方が実務に柔軟。
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書類の発行や責任の所在もクリアにできる。
EXW条件。
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日本に信頼できる現地フォワーダーがいるならコスト・スケジュールでベストの方法。
8. よくあるQ&A
Q1. FOBとFCA、どちらが輸入者にとって有利?
→ 初心者ならFOBの方が管理しやすいです。FCAは慣れてから。
→ 船積証明や信用状(L/C)条件が関係する場合、FCAだと柔軟に対応できます。
Q2. EXWを選ぶべきシーンは?
→ 売主が中小企業で「輸出経験がない」場合。
→ 売主の物流手配やスケジュールの情報共有などに不満がある場合。
Q3. 輸送費はどこからどこまで含まれる?
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FOB:船積み前まで売主負担。それ以降は買主負担
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FCA:指定地点での引き渡しまで売主負担
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EXW:工場での引き渡し以外すべて買主負担
9. まとめ|貿易条件を理解すれば、輸入コストもリスクも減らせる
FOB、FCA、EXWといった貿易条件は、
海外輸入において非常に重要な要素です。
✅ FOB条件:初心者向け。海上輸送だけ自分で手配したいときに最適
✅ FCA条件:輸送手段を柔軟に管理したい・L/C取引にも対応
✅ EXW条件:日本に信頼できるフォワーダーがいる場合
貿易条件の理解は、輸入コストを最適化し、
トラブルを未然に防ぐ第一歩です。
条件選びに迷ったら、必ずフォワーダーや通関業者に相談して、
自社に合った取引スタイルを確立しましょう。
なお、弊社では世界各国に信頼できる代理店ネットワークを構築しており、
EXW条件のように現地対応が必要なケースでも、
迅速かつ確実な輸送手配が可能です。
条件選びに迷った場合も、お気軽にご相談ください。
フォワーダーとして、御社の国際物流を全力でサポートいたします。