
国際物流の中でも、
大量の貨物を安く運べる手段として
利用されるのが「海上輸送」です。
この記事では、
これから貿易・輸出入に携わる方向けに、
海上輸送の主な種類と特徴、メリット・デメリット
をわかりやすく解説します。
目次
-
-
海上輸送とは?
-
海上輸送の主な種類【3分類】
-
-
-
コンテナ輸送とは?
-
在来船(バルク・ブレークバルク)とは?
-
RORO船(ローロー船)とは?
-
海上輸送の種類の選び方
-
よくあるQ&A
-
まとめ
-
1. 海上輸送とは?
**海上輸送(Maritime Transport)**とは、
貨物を船で海上経由で運ぶ物流手段です。
航空輸送に比べるとスピードは劣りますが、
大量輸送が可能かつコストが安いのが大きな魅力です。
例えば以下のようなケースで活躍します:
-
自動車や機械類など大型貨物の輸送
-
数百kg〜トン単位の商品出荷
-
貿易実務での標準的な輸送手段
2. 海上輸送の主な種類【3分類】
海上輸送は大きく以下の3つに分類されます。
種類 | 説明 | 主な用途 |
---|---|---|
コンテナ輸送 | コンテナに積載して輸送する一般的な方法 | 雑貨、機械部品、衣料品、家電など |
在来船(ばら積み)輸送 | 荷姿のまま積載。バルク船や多目的船を使用 | 鉄鉱石、木材、プラント設備など |
RORO船輸送 | トラックや自動車ごと積載して運ぶ方式 | 自動車、建機、トレーラーなど |
海上輸送にはさまざまな種類があり、
貨物の性質や輸送条件によって適切な方法を選ぶ必要があります。
まず一般的に広く利用されているのがコンテナ輸送です。
これは、標準化されたコンテナに貨物を積載して輸送する方法で、
積み下ろしの効率が高く、
世界中の港湾で対応可能なインフラが整っています。
主に雑貨、機械部品、衣料品、家電など、
パレット積みや梱包された製品の輸送に適しています。
次に、在来船(ばら積み)輸送があります。
これは貨物をコンテナに入れず、荷姿のまま船に積載する方式で
、鉄鉱石や木材、プラント設備など大型または
形状が特殊な貨物に利用されます。
バルク船や多目的船が使用され、
積み降ろしには専用の設備が必要になることもあります。
最後に、RORO(ロールオン・ロールオフ)船輸送は、
トラックや自動車、建機などをそのまま船に積み込んで輸送する方法です。
貨物をそのまま車両で乗り入れ・乗り出しできるため、
迅速で効率的な積み下ろしが可能です。自動車メーカーの
完成車輸送や大型トレーラーの国際輸送に適しています。
これらの輸送手段はそれぞれ特性が異なるため、
貨物の種類や目的地、納期、コストなどを考慮し、
最適な方法を選定することが重要です。
3. コンテナ輸送とは?
最も一般的で汎用性が高いのが
この**コンテナ輸送(Container Shipping)**です。
特徴
-
標準サイズ(20フィート・40フィート)のISOコンテナを使用
-
**FCL(コンテナ単位)とLCL(混載)**の2種類がある
-
荷物の積み替えや通関が効率的
メリット
-
セキュリティが高く、ダメージリスクが低い
-
各国の港で対応しやすい
-
輸送の追跡が可能な場合も多い
デメリット
-
荷物サイズがコンテナ内に制限される
-
混載の場合、スケジュールの自由度がやや落ちる
4. 在来船(ばら積み)とは?
**在来船(Break Bulk Ship / Bulk Carrier)**は、
コンテナを使用せず、荷姿のまま積載する輸送方式です。
特徴
-
鉄鋼、木材、大型機械などをパレット・木枠などの形で積載
-
「多目的船」や「バルク船(ばら積み貨物専用)」が使われる
-
専用の積み下ろし機材が必要なことも
メリット
-
コンテナに収まらない大型貨物・重量物を輸送可能
-
輸送に適した船の種類が多様
デメリット
-
荷役コストが高くなりやすい
-
天候や港の状況に左右されやすい
-
船積みスケジュールの調整が必要
5. RORO船(ローロー船)とは?
**RORO船(Roll-on/Roll-off)**は、車輪のついた貨物を
「転がして」そのまま乗せられる専用船です。
特徴
-
トラック・トレーラー・自動車などを積載
-
港に着いたらそのまま走行で荷下ろし
-
船内にはランプウェイ(スロープ)がある
メリット
-
荷役時間が短く、輸送の効率が非常に高い
-
自動車や建機の海外輸出で標準的な手段
デメリット
-
積載できる貨物に車輪が必要(台車付きも可)
-
対応できる港が限られることも
6. 海上輸送の種類の選び方
貨物の種類や予算、納期によって選ぶ輸送手段が変わります。
条件 | おすすめの輸送方法 |
---|---|
小型貨物・一般商品 | コンテナ輸送(LCL or FCL) |
大型重量物・機械 | 在来船(バルクまたは多目的船) |
自動車・建設機械 | RORO船輸送 |
費用重視 | コンテナ(FCL) or バルク(数量による) |
スピード重視 | 海上輸送ではなく航空便も検討 |
7. よくあるQ&A
Q1. FCLとLCLの違いは?
-
**FCL(Full Container Load)**は1社で1コンテナを使う形式
-
**LCL(Less than Container Load)**は複数社で1本のコンテナを共有(混載)
Q2. コンテナで送れないものは?
-
超大型機械や一体構造の長尺品は在来船やバルク船での輸送が必要です。
Q3. RORO船と在来船の違いは?
-
RORO船は車輪がある貨物を走行させて積載
-
在来船はクレーンなどで吊り上げて積載
8. まとめ
海上輸送には、コンテナ輸送・在来船・RORO船といった
複数の方法があり、それぞれに特徴や適した貨物があります。
✅ コンテナ輸送:汎用性・安全性が高く、最も一般的
✅ 在来船輸送:大型・特殊貨物に適している
✅ RORO船輸送:車両輸送に特化し、効率が高い
あなたの貨物やビジネスモデルに最適な手段を選ぶことで、
コスト・納期・安全性の最適化が可能です。
必要に応じてフォワーダーや通関業者に相談することで、
よりスムーズな輸送計画を立てることができるでしょう。