車をナンバープレートのまま海外へ一時輸出する方法|再輸入までの完全ガイド
日本で登録された車両を、ナンバープレートを外さずに海外へ持ち出し、
一定期間使用した後に日本へ再輸入することは可能なのでしょうか。
結論から言えば、可能です。
ただしそれは通常の「中古車輸出」とはまったく異なり、
「一時輸出(Temporary Export)」という特別な制度を利用する必要があります。
本記事では、ナンバープレートを維持したまま海外へ輸送し、
再輸入するまでの流れを実務ベースで詳しく解説します。

一時輸出とは何か?

通常、車両を海外へ輸出する場合は「永久抹消登録」を行い、
日本の登録を消してから輸出します。ナンバープレートも返納するのが一般的です。
しかし、以下の条件を満たす場合は「一時輸出」という形で
登録を維持したまま国外へ持ち出すことができます。
・海外で一定期間のみ使用する
・販売目的ではない
・必ず日本へ再輸入する前提である
この制度を活用することで、日本ナンバーのまま海外で使用することが可能になります。

一時輸出で利用される代表的な制度

1. ジュネーブ条約(1949年道路交通条約)

正式名称は「ジュネーブ条約(1949年道路交通条約)」です。
この条約加盟国では、日本ナンバーの車両を一定期間走行させることが認められています。主な特徴は以下の通りです。
・国際運転免許証で運転可能
・原則1年以内の滞在向け
・短期業務利用やプロジェクト使用に適している
比較的シンプルな方法ですが、相手国が加盟国であることが前提条件になります。

2. ATAカルネ制度

正式名称は「ATAカルネ条約(Temporary Admission Convention)」です。
ATAカルネは、一時輸入する物品について関税や消費税を免除する制度で
、展示会や業務用機材などに利用されます。車両にも適用できるケースがあります。
特徴は以下の通りです。
・一時輸入時の関税・消費税が原則免除
・商用目的や展示用途に適している
・国ごとに適用条件が異なる
車両への適用は国や目的によって
判断が分かれるため、必ず事前確認が必要です。

一時輸出から再輸入までの流れ

STEP1:目的の明確化

税関が最も重視するのは「なぜ持ち出すのか」という点です。
・業務使用か
・展示目的か
・研究・試験目的か
・滞在期間はどのくらいか
目的が曖昧だと、輸出入通関で止まる可能性があります。

STEP2:日本側で準備する書類

一般的に必要となる書類は以下の通りです。
・車検証
・委任状
・インボイス
・輸出申告関連書類
・条約関連書類(該当する場合)
一時輸出の場合は登録抹消を行いません。ナンバープレートはそのまま維持されます。

STEP3:輸送方法の選定

主な輸送方法は以下の通りです。
・フェリー輸送
・RoRo船
・コンテナ輸送
実務上の注意点として、
・出港港が限定される場合がある
・港までの自走が必要なケースがある
・陸送手配が別途必要になることがある
などが挙げられます。
依頼範囲を事前に明確にしておくことが重要です。

STEP4:現地での一時輸入手続き

現地では以下の手続きが必要になります。
・一時輸入申告
・滞在期間の登録
・保証金(必要な国あり)
・現地保険加入
ここで設定した滞在期限を超えると、
関税徴収や罰金の対象になる場合があります。

STEP5:再輸出・日本への再輸入

再輸入時の重要ポイントは以下です。
・同一車両であることの証明(VIN番号確認)
・輸出時書類との整合性
・滞在期限内であること
一時輸出扱いであれば、原則として再輸入時に関税は発生しません。

よくあるトラブルとリスク

・滞在期限を超過してしまう
・書類を紛失する
・条約対象外の国だった
・現地保険未加入
・現地で売却してしまう
これらは再輸入不可や高額課税につながるリスクがあります。

法人車両の場合の注意点

法人名義車両の場合は特に以下を意識する必要があります。
・業務目的の明確化
・使用責任者の明示
・社内決裁書類の整備
・保険条件の確認
法人車両は商用利用と見なされやすいため、説明資料を準備しておくと通関がスムーズになります。
成功のための5つのポイント
1. 一時輸出であることを明確にする
2. 条約適用可否を事前確認する
3. 滞在期限を厳守する
4. 書類を徹底管理する
5. 再輸入までを前提に設計する

まとめ

車をナンバープレートのまま海外へ持ち出し、
一定期間使用後に日本へ再輸入することは可能です。
しかしそれは通常の中古車輸出とは異なる「制度設計型の輸出」です。
輸出だけでなく、再輸入までを見据えた準備が必要になります。
制度を正しく理解し、書類と期限を管理すれば、
法人・個人いずれの場合でも実現可能です。